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2017/08/06商品紹介

ROCK BIKES SPITFIRE―――とは

 うだるような熱気の中、皆様いかがお過ごしでしょうか。千本中立売店からスタッフ小野が、ROCK BIKES SPITFIREをご紹介します。

すでに多くのブログなどでこのバイクのディティールなどをご存知の方も多いかと思いますので、今回はあえて、このバイクの走行感に焦点を当ててご紹介しようと思います。

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あらかじめお伝えしておきますと、この車体は全く乗りやすい物ではありません。初めてのロードバイクに選ばれる場合、最初の三月はうまく取れないバランス、キツイ前傾姿勢から来る腹筋背筋上腕二頭筋の筋肉痛に苛まれることは確実です。

ですが、それでもあえて、SPITFIREをお勧めする理由がございます。

 

ロードバイクの楽しみ方は何かといわれますと、ほとんどの方が早く、遠くに楽しんで走れるという事を上げられるかと思います。実際ロングライドは楽しい物ですし、自分も楽しんでおります。

しかし、私自身がロードバイクに求める一番の楽しみがそれかと言われますと、それではない、と言わざるを得ません。

これはあくまで私が最初に買ったロードバイクの影響も多大なためですが、私がロードに求める物とは、加速力に他なりません。信号待ちから目の前の信号が青になった瞬間、全速力で飛び出せる性能を、常に求め続けています。どんなにロングライドで疲れないロードであろうと、ヒルクライムで軽く走れる軽量なロードであろうと、いざ加速しようと思いっきり踏み込んだ時に負けるようなフレームはお呼びではないのです。

そして、ロードバイクにはその車体がいかに加速力に優れているかを示す絶対的な数字がフレームに隠されています。その名もリアセンター。クランク軸の中心から後輪の車軸中心までの距離の数字です。この数字が短ければ短いほど加速力に優れたフレームとなります。理由は何点かございますが、この場では割愛いたします。

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(写真Gの線がリアセンター。たいていのロードバイクカタログにはジオメトリー表が掲載されています)

一般的にロードバイクの場合、リアセンターが405mmより長い場合、ロードとしては失格である、というのが一昔前のロードバイクの常識でした。クロームモリブデン鋼(いわゆるクロモリです)のパイプを使用したロードが主流だった時代です。

ちなみに現在変速機のシェア世界第一位のメーカー、シマノ社は、ロード用変速機が正常に動作する保証をリアセンター405mm以上のフレームでなければならないとされています。これは後変速機の多段化が著しいためです。クロモリのロードが主流だった時代後変速機の変速枚数は5枚から7枚でしたが、現在は11枚が主流となっています。その結果、昔よりもリアセンターを長くとらなければ変速機が正常に動作しなくなってきているのです。

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(70年代のバイク。変速段数リア5枚、フロント2枚)


しかし言い換えれば、それはロードバイクという乗り物が、時代の流れに合わせてマイルドになってしまったという事でもあるのです。現在の各メーカーフラグシップロードの中にも、リアセンターが408mmなどの車体も多く、実際レースで結果を残しているのも事実です。

しかし。リアセンター403mm、395mm、375mmなどの異常に短い車体を乗ってみると、それ等の車体が牙を抜かれた獣のように感じるのも、残念ながら事実です。リアセンターの数字が2mm変わるだけでチェーンは長くなり、動力損失も増えます。結果全身の力を使ってペダルを踏みこんだ時に、どうしても鈍く感じてしまうのです。

私は最初に買ったロードバイクがMASIの加速力に特化したクロモリバイクであった為、それ以来病にかかりました。新しいロードを選ぶ際にまず見るのがリアセンターの値です。雑誌などでどんなに良く宣伝されていても、リアセンター408mm、405mmの数字を見た瞬間に買う気がうせてしまうのです。

加速の楽しさを求めてロードを欲するのに、鈍いフレームを買いたくはないのです。

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(昔の愛車、MASI SPECIALE PREMIO リアセンター403mm)

と、いう事で本題のSPITFIREです。ROCK BIKESはジオメトリーを公表しておりませんが、実際にメジャーで計ってみると、400mm±1mmであろうことが分かります。

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合格です(なにがだ)

 

ROCK BIKESは自転車の加速力を大事にするブランドです。変速性能の低下を飲んででも、それ以上のライドフィールを提供するためにあえてこう言った数字を採用しています。

以前ロード仲間を自分のMASIに乗せた時、異常なほど進むフレームに慄いていたことがあります。残念ながら現在のMASIはあのころのように尖ったジオメトリーを採用している訳ではないのですが…

翻ってこのSPITFIRE。リアセンターは大径アルミパイプの限界まで詰めていることが一目で見て取れます。タイヤクリアランスはギリギリで、フロントディレーラーがタイヤにこすりそうなほどです。

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(こするかこすらないかのギリギリのクリアランス。23C幅のタイヤを履かせたいところ。写真は26C)

さらに、フロント三角を構成するパイプも太く、腕の力をしっかりと後輪に伝えてくれることは想像に難くありません。まさに加速力に特化したバイクです。

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(優美な丸パイプを用いたフロント三角。ヘッドマークも美しい)

ロードバイクの楽しみの一つは、踏み込んだ瞬間際限なく加速していくその快感にあると思いますし、普段はなかなか言えないのですが(安全とか交通マナーなどもありますので。)その快感を是非感じて頂きたいと思っています。

そして、その快感を楽しむために必要なのはロードバイクとヘルメットだけです。ジャージもシューズも必要ありません。普段履いているスニーカーとジーパンでロードにまたがり、目の前の信号が青になった瞬間思い切りペダルを踏み込んだ瞬間に感じることが出来ます。

それを感じてしまったら後は泥沼なわけですが。

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(80年代のレーシングフレーム。フレームを湾曲させてまでリアセンターを詰めている)

SPITFIREは、ある意味ではネオクラシックロードの名にふさわしいバイクです。アルミのホリゾンタルフレームという90年代前半に流行したスタイル、今ほどバイクの設計に制約が無かった時代の突き抜けた乗り味。今のカーボンバイクには出せなくなってしまった乗り味を今に伝えています。

 

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かつての救国戦闘機と同じ名前を冠したバイクで、あなたも駆け抜けてみませんか。